簡単にディレイのワープを過激化する方法(DD-6)

■DD-6とは?

 BOSSのデジタルディレイ DD-6と言えば、使いやすく、音質の良く、かつ手頃な価格で手に入る、ある種定番のような機種であります。この機種が特筆すべきな点は、実用的な機能だけでなく、ワープという飛び道具機能が付いていることです。ペダルを踏み続けている間はフィードバックが最大になり、音が無限に発振します。どんどん音が重なり凶暴に音圧を増していくさまは、まさしく飛び道具。しかも、BOSSのコンパクトDDシリーズでこの機能を有しているのはDD-6だけです。飛び道具好きは中古市場で見つけたら迷わず買いましょう。

 

■なぜ作ったの? 

そんな貴重で愛すべきワープ機能、使っていると「発振してるんだったら、ディレイタイムをグリグリと回して変化させたいよね」と、アナログディレイの時代からの定番アクションをきめたくなります。
 
しかし同時に「演奏中にしゃがんでツマミを回すのはみっともない」(個人の感想です)という気持ちが私にはあります。ステージでお客さんに音楽を届けている以上、その時間中は全力のパフォーマンスでお客さんとコミュニケーションしないといけません(個人の感想です)。
 
そこで、ペダルを踏んだまま直接ツマミを回せる方法を考え出しました。
 

■何を作ったの?

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DD-6に、足の裏で回せるツマミを追加しました。操作方法とその音の効果が分かるよう、Youtube動画を用意しました。
 
動画は短いですが、実際には時間を忘れてグルングルン遊んでます。この感覚、かなり癖になります。
 

■どうやって作るの?

 そんな中毒性の高い改造ワープ機能の作り方です。
 
用意する材料:
  • 50kΩの可変抵抗器(Bカーブ)
  • この可変抵抗器に合うツマミ
  • CYMPAD オプティマイザー/シンバルワッシャー(ライド用、スポンジとして使用)
  • 色違いの線材を3本
  • ボールベアリング(※より快適な操作感にこだわるなら) 
まず、バラバラにします。ネジはドライバーで、ナットはレンチで外します。ツマミは刺してあるだけなので、抜き取ります。可動するペダルの上に貼り付いている黒い滑り止めのゴムと、裏面にある9v電池を固定するためのスポンジを取り除きます。

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次に電動ドリルで可動するペダルと、筐体本体に穴を開けます。穴の大きさは、可動ペダルの方は直径6.5mm、本体は3〜4mmです。可動ペダルに開ける穴の位置は、元々黒いゴムが付いていた、窪んでいるエリアです。ここの左から2.9mm、下から2.9mmの位置に、穴の中心をもってきます。可動ペダルに穴が開いたら、可変抵抗器を取り付けます。簡単に動かないようにしっかりナットを締めましょう。

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ディレイタイムの可変抵抗器を基板から取り外します。基板には4つツマミが並んでいますが、右から二番目がディレイタイムです。これを取り外すのに使う道具が、ハンダごてとハンダ吸いテープです。ハンダを3箇所吸い取ったら、簡単に可変抵抗器は基板から取り外しできます。

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取り外した基板にケーブルを取り付けます。線材の先をワイヤーストリッパーで剥き、ハンダ付けします。線3本の色は何でも良いですが、どこに何色を取り付けたか、メモしておきましょう。

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線3本を穴に通します。その後、基板を全て元の位置に戻します。基板はLEDを固定している基板、可変抵抗器を固定している基板、メインの基板の3枚ありますので、この順で元に戻しましょう。可変抵抗器3つもナットで固定します。もう筐体の中をいじることはありませんので裏蓋もネジ止めします。そして、線を可動ペダルの可変抵抗器に結線します。色を間違えないように。ハンダ付けしたら、可動ペダルをネジ止めして戻します。

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ツマミを取り付けます。飛び出ている可変抵抗器の軸にツマミ、スポンジの順で刺し込みます。足で踏むのでしっかり奥まで入れましょう。これで完成です。全ての作業を終わる前に、足で踏んでグリグリ回してグラつきかないか、確認しましょう。これで完成です。

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■より快適な回転と安心感を求める方向け

足で踏むとそれなりの力がかかります。しかも可変抵抗器の軸にだけかかることになるのですが、そもそも可変抵抗器は体重をかけて操作するように設計されていません。回して演奏している最中に軸が折れたり、可変抵抗器の中が壊れるリスクがあります。
 
これを解決するためにベアリングをツマミの下に敷くことにしました。ベアリングはスラストベアリングという、上からの力を受け止められるものです。一般的な電子部品店やホームセンターでは売ってませんので、ネット通販で購入しましょう。
 

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  • IKO 日本トムソン AS1226 スラストワッシャ(IKO-AS1226)
  • IKO 日本トムソン NTB1226 スラストニードルベアリング(IKO-NTB1226)
また購入の際に同サイズのワッシャー2枚も一緒に買いましょう。それぞれ内径12mm、外径26mmです。
 
取り付け方法は簡単です。大きなツマミと、中のツマミを一旦はずします。可変抵抗器の軸に、ワッシャー、ベアリング、ワッシャーの順で通します。そして再びツマミ、大きなツマミを取り付けるだけです。以前より少しツマミの位置が高くなりますが、これはベアリングとワッシャーがツマミを持ち上げ、完全に支えているからです。つまり、軸には体重がかからないようになりました。

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ベアリングを入れたお陰で回転のスムーズさが増しました。回り過ぎて足をひねって捻挫しそうです。狙った通りの効果が出ました。
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■最後に

昔からオリジナルのエフェクターを作成してきましたが、こんなに簡単な工作で、素材の持ち味を最大限にブーストできたのは初めてです。他に面白いアイデアを思いついたり、トライした方は是非とも教えてください。